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2004/01/20

Sパラメータ

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前回、回路網解析とは、入力に対する出力の関係をあらわす行列を求めることだと説明しました。

オームの法則は皆さん、良くご存知だと思います。電圧V、電流 I、抵抗Rとすると、V=R・I というものです。これを用いて上の行列を求めることを試みてみましょう。

Aが電流 Iで、Bが電圧V、行列はインピーダンスを表しますね。例えばX11を求めたければ、ポート2を短絡して、A2すなわち電流 I2を0にした状態で、電流 I1を流したときの電圧V1を測定すれば良いことが分かります。その他の要素も同様にして求めることが出来ます。

しかしながら、周波数が高くなってくると、電圧電流の測定自体が困難になってきます。また、回路網に影響を与えず、短絡や開放状態を作り出すことは非常に困難です(終端負荷と反射参照)。

そのため、電圧や電流を直接測定するのではなく、少し考え方を変える必要があります。

高周波領域では、電圧電流を直接扱うよりも、電圧の進行波と反射波を取り扱う方が、より簡単で理論的です。

図(a)をご覧ください。入力としてVi1とVi2の2つの進行波を考えます。それに対する反応をVr1とVr2とします。


図(a) 進行波と反射波による回路網解析

これらの関係も同じように行列にすることが可能です。この行列は、回路網によって散乱、もしくは反射された波と入射波とを関連付けることから、散乱パラメータ( Scattering Parameter )Sパラメータと呼ばれます。

ポート2からは何も入力せず、ポート1から信号を入力した時に、ポート1側へどれぐらい反射して戻ってくるかという特性は、S11で示されています。同じ状態で、ポート2側へどの程度伝わっていくか、透過していくかという特性は、S21になります。

慣れない間は、混乱するかもしれませんが、Sパラメータは、図(b)に示したように、添字(suffix)の最初に書かれた数字が出力ポートを表し、後の数字が入力ポートを表しています。

これは、もともとが行列で表されたパラメータであるためです。


図(b) Sパラと入出力ポート

Sパラメータの定義として、重要なことがあります。Sパラメータ解析のモデルは図(a)に示したとおりですが、回路網の外側につながっているポート1およびポート2は、完全に特性インピーダンスZ0になっていなければいけません

ポート1と2が同じ特性インピーダンスである必要はありません。例えば、ポート1側のインピーダンスが50オーム、ポート2側が100オームに設計された回路のSパラメータを求めるときは、ポート1が50オーム、ポート2が100オームにつながれていなければならない、ということです。もちろん、ポート1も2も同じ特性インピーダンスで設計されていれば、回路網の外側は全て同じ特性インピーダンスになっていなければなりません。

次回は、ネットワークアナライザがどのようにして、このSパラメータを測定しているかを、見てみたいと思います。

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