このようにスムージングは、表示データのノイズ成分を低減させて、よりなめらかな測定結果をえるために使用することが可能です。しかしながら、スムージング特有のデータ処理方法を良く理解せずに使用すると、思わぬトラブルを招くことがあります。
スムージングというのは、データに対して横のデータ同士で移動平均をとっています。例えば、101ポイントで測定した時に10%のスムージングを取ると、表示ポイントを中心に、左右10ポイント分のデータを足して10で割った値が表示されます。
フィルタ特性の通過特性を評価する場合についてみてみましょう。図(c)は、フィルタの通過特性をLogMagで表示し、もとのデータ(青で表示)に対して、アパーチャ5%のスムージングをかけています(ピンクで表示)。
横のデータ同士で移動平均を取っているため、スムージングをかけたデータの特性は周波数がずれて表示されます。確かに波形はなめらかになっていますが、これではフィルタの通過特性の評価はできません。
このような場合には、スムージングではなくアベレージングを使用しなくてはいけません。図(d)は同じものにアベレージングをかけたものですが、余計なノイズ成分が取り除かれ、フィルタ本来の特性が表示されているのが分かります。
このようにスムージングは、群遅延の評価時に使用するものであり、その他のフォーマットで使用すると、本来の特性を異なる結果が表示されますので、注意が必要です。
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